オーダースーツ生地の温故知新　　【広島でオーダースーツ】

広島店プランナー　金平です。

例年より暖かかった１１月も過ぎ、１２月になりました。朝の最低気温が１ケタ前半まで下がり、先日の朝、昨日までは無かった窓の結露に気付きました。そして冬の深まりとともに朝の窓の結露の水滴エリアが日増しに広く大きくなっていきます。

思い起こすに、昨年はこの結露による冬の深まりを二度経験しました。一度は去年の今頃、広島で、もう一度は５月～6月にかけて研修で一カ月滞在した南半球（気候が日本と逆）オーストラリアの牧場で、でした。

メルボルン空港からスカイバスの着くサザンクロス駅前の街並みの街路樹は、５月ですが秋の趣きです。また、昔ながらの建造物と近代的な高層ビルが併存しているのも印象的でした。メルボルン繁華街のフリンダ―ストリート駅は１日２万人が乗降する主要駅ですが、その駅舎は１８５４年に完成したオーストラリア最古の駅です。

古い建物を大切に修復し活かしつつ、近代的な高層ビルも建てていくメルボルンの街並みは、温故知新を感じさせます。

故（ふる）きを温（たず）ねて新しきを知る、オーダースーツ生地で言うなら“古くからの素材を見直すことで新しい感性を生んだ”そんな温故知新素材（フランネル）をご紹介いたします。

＊フランネルについて

フランネルは１８世紀に英国のウェールズ地方で生まれた軽く、柔らかい起毛素材です。緯糸、経糸とも紡毛糸を使ったものが本来のフランネルで「ウーレンフランネル」と言われます。紡毛とは短い繊維や均一でない太さの繊維から作られる糸で、膨らみがあり保温性の高い生地に仕上がります。

現在の日本のオーダースーツで使われるフランネルは梳毛糸を使った「ウーステッドフランネル」が主流。櫛ですくことで短い繊維を取り除き、向きを整えて撚りをかけて作られる梳毛糸で織られた生地は美しいツヤとハリ、コシのある仕上がりになります。さらに細番手の梳毛糸を使ったフランネルは美しい光沢感と軽さ、暖かさを兼ね備えたこれからの季節の冬のスーツ生地としてオススメの素材です。

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一般的に馴染みが深いのは写真のようなグレー無地のフランネルでしょうか。起毛感があり厚そうに見えますが写真のカノニコのフランネルはsuper120’sの細番手ゆえ、目付（１ｍ当たりの重さ）２７０gと合物生地と変わらない軽さです。従来の紡毛糸フランネルに比べて薄いので、合物兼用としてシーズン長く着用できます。

1950年代のグレゴリーペック主演のアメリカ映画にTHE　MAN　IN　THE　GRAY　FLANNEL　SUITS（灰色の服を着た男）という作品があります。古い映画のタイトルになるほど時代の流れを越えて支持されるグレーフランネルスーツなら、迷った時のとりあえずの１着で選んでもハズスことはありません。